煙火師たちのエール

鈴木です。

先日長野えびす講煙火大会が催されました。
ここ吉田からも大輪の花火が夜空にきらめくのを見ることが出来ました。

数ある煙火師のなかで、長野市安茂里出身の青木儀作(1889~1965)は「花火の神様」と称えられ、別格の存在感を放っています。花火を「芸術」の域まで高めた人物と評され、業界で初めて黄綬褒章を受章しました。

日本の代表的な花火―上空で大きな菊や牡丹を描くいわゆる割物(わりもの)花火において、青木は「多重芯」という技術革命をもたらしました。現在では当たり前になりましたが、花火が破裂した時に、球形の花火が何層か重なります。しかし、青木が多重芯を発明するまでは同色の単層花火しかありませんでした。





花火の玉を真っ二つに割ると、ちょうど電子の配列のように同心円状に「星(粒状の火薬で光の軌跡を描く)」と「割薬(玉を割り、星を遠くまで飛ばす火薬)」が並んでいますが、彼はこれを世界で初めて三重構造にしました。
十数年の歳月をかけて開発されたこの技術は「八重芯(やえしん)」と名付けられました。当時、三重の球形を超える花火は不可能だと考えられていたためです。火薬の量、紙の種類、数ミリ単位で調整する「星」の位置など、緻密に層を設計しなければなしえない作品なのです。

それでも、後継の煙火師たちは「四重」「五重」をつくってみせようとその限界に挑戦し続けました。

「まだいける、まだやれる」

青木儀作が世を去って半世紀。今年1月、秋田の煙火師が完璧な五重芯(ごえしん)花火の打ち上げに成功したと報じられました。青木儀作のお孫さんで、紅屋青木煙火店(安茂里市)の青木昭夫さんは前人未踏の六重芯(ろくえしん)の研究に心血を注がれています。

高3生、中3生ともに正念場の12月を迎えます。

「まだいける。まだ伸びる!」

連綿とつづく煙火師たちの情熱の花火は、きっと受験生たちにもエールを送ってくれたに違いありません。
  


2016年12月05日 Posted by クレドアカデミー at 13:42日々雑感