受験と『睡眠時間』

 ここ何人か、立て続けに「睡眠時間」のことを尋ねてきましたので、少しお話しておきたいと思います。

 私たちが受験生の頃は「4当5落」だとか「3当4落」だとか言われていました(私の世代がわかっちゃいますね・笑)。
 「3当4落」とは、「4時間も寝ていたら合格できない、睡眠時間を3時間まで削って勉強しなさい」、という意味です。みんな睡眠時間をギリギリまで削って勉強していました。
 今考えてみると、まさに「うさぎ跳び」並の『無駄な努力』の典型です。

 ここでは、わかりやすさを優先させて、かなりザックリとした話をさせていただきます。
 睡眠には「ノンレム睡眠(脳がしっかり休んでいる睡眠)」と「レム睡眠(脳が覚醒に近い状態にある睡眠)」があり、就寝後「ノンレム睡眠」→「レム睡眠」が繰り返されます。このサイクルが1セットで約90分と言われています。

 この中で「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」の占める時間は半々ではなく、「ノンレム睡眠」の方が圧倒的に長くなっています。「レム睡眠」は、睡眠の前半ではわずか数十秒に過ぎず、後半では30分近くも続くそうです。
 そして、昼間学習した内容を脳に定着させるのが、この「レム睡眠」のときなのです

 仮に6時間睡眠をとると、ノンレム睡眠→レム睡眠のサイクルが4セットできます。記憶の定着に重要な「レム睡眠」は前半2セットでは極めて短く、後半の2セットで長くなっていくのです。
 つまり、「3当4落」ではありませんが、3時間しか眠らなければ、記憶の定着に必要な「レム睡眠」はわずかしかとれず、記憶を効率よく定着させるためには『最低6時間』の睡眠が必要だと考えてください。
 

 受験は長期戦です。定期テストのように「一夜漬け」的学習では乗り越えることができません。寝てばかりで勉強しないというのは論外ですが、まずは、この『6時間の睡眠時間』を中心に、十分な学習時間が確保できるよう、1日の計画を立ててみてください。

辛島




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2014年06月01日 Posted byクレドアカデミー at 08:00 │学長コラム