国内総生産?

 
 昨日、2016年1~3月期の国内総生産(GDP)が0.4%のプラスと発表されました(速報値)。
 1年に換算すると1.7%の経済成長率ということになります。

国内総生産?
(5月19日付日本経済新聞・見方はかなり厳しいですね)

 生徒とGDP(国内総生産)の話をしていましたら、少し誤解があるようでしたので、今回は大学受験でも出題されるGDPのお話をしてみます。

 そもそも『総生産』とは、一定期間内(例えば1年間)に『新たに生み出された価値』のことを言います。
 日本に関して言えば、日本国内で『新たに生み出された価値』が国内総生産(GDP)であり、日本国民が『新たに生み出した価値』が国民総生産(GNP)となります。ですから「日本国内で外国人が生み出したもの」は国内総生産には入りますが国民総生産には入りません。一方、「海外の日本人が生み出したもの」は国民総生産には入りますが国内総生産には入りません。したがって、国内総生産の方が、日本国内の景気の状況をよく反映しているということができます。

 『総生産』について、もう少し詳しくみていきます。
 リンゴジュースを製造するA社という企業があるとします。A社は500万円でリンゴを仕入れ800万円分のジュースを作りました。800万円分のジュースを作りだしたのですが、800万円分すべての価値をA社が『新たに生み出した』わけではありません。原材料のリンゴ500万円分は、リンゴ農家など他のところが生み出したものです。よって、A社が『新たに生み出した価値』は800万円-500万円=300万円ということになります。つまり、A社は500万円分の原材料に、300万円分の価値を付け加えたことになります。ですから『総生産』のことを『付加価値』と呼ぶこともあります

 このことを国内全体でみていきますと、日本国内の企業などによる取引額の合計(総産出額)から他のところが生み出した価値(原材料費など「中間生産物」といいます)を引いたものが『総生産』ということになります。
したがって、『総生産』を求める式は『総生産』=総産出額-中間生産物 となります。
 この算出方法は「付加価値法」といい、内閣府がデータの算出に用いている方法です。センター試験でも過去に計算問題が問われたことがありますので、この公式は確実に押さえておいてください。

 さらに、原材料だけでは製品を作ることができず、機械などが必要となりますが、この「機械など」も他のところが生み出したものです。『総生産』からさらに「機械など」の分(減価償却費・固定資本減耗などと言います)を差し引いたものが『純生産』となります。
 『純生産』=『総生産』-減価償却費・固定資本減耗  
  または 
 『純生産』=総産出額-中間生産物-減価償却費・固定資本減耗

 経済成長率は、国内総生産(GDP)がどれだけ増加・減少しているかをみるものです。冒頭の「年率換算1.7%のプラス」とは、1年単位に換算した場合、「GDPが1.7%増えたことになる」ということを意味しています。
 ちなみに、日本のGDPは、バブル経済崩壊後20年以上、約500兆円前後で推移しており、ほとんど成長していません。『失われた20年』といわれる所以はここにあります。

 名目GDPにより算出したのが「名目経済成長率」、実質GDPから算出したのが「実質経済成長率」となります。実質GDPは「GDPデフレーター」を用いて算出しますが、このあたりが苦手な受験生も多いので、機会があればまたお話をします。

かなり長くなってしまいました。
以上、学長でした。



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2016年05月19日 Posted byクレドアカデミー at 14:26 │学長コラム