アナクロニズム

【時代錯誤】(広辞苑より)
①異なる時代のものを混同する誤り。アナクロニズム。
②転じて、時代遅れであること。現代に適合しないこと。

 先日6月5日の信濃毎日新聞の「群青の風」という連載に、松本県ケ丘高校の応援練習が取り上げられていました。

 記事の内容は、伝統を踏襲して応援練習を続けたいという生徒側の主張と、朝練や中学時代の制服の着用などを見直したらどうかという学校側の主張が紹介され、結果的には朝練は時間を短縮する一方、服装は従来通りという結論に落ち着いたというものでした。

 この記事の中では、「伝統を守り中学時代の制服で練習したい」という高校生に対し、中学校長から「時代錯誤だ」という異論が出されていることも紹介されていました。

 私は何となく違和感を感じました。

 少なくとも私が学生だった頃(ん十年前?)には、伝統を守り前例を踏襲しようとする大人に対し、変化を求める若者たちが『時代錯誤』という言葉を批判的に使っていたような気がします。

 この逆転現象が一般化されているとまでは言いませんが、時代を映すひとつのメルクマールなのかもしれません。

 急激な社会の変化がストレスとして感じられるようになってきた、いわゆる社会の『潮目』が大きく変わったのは、1990年代後半、「グローバルスタンダード」や「dog year」といった言葉が頻繁に用いられるようになった頃ではないでしょうか。

 多くの大人たちは、莫大な量の情報があふれる中、日々刻々と変化する社会に対応するのに一生懸命でした。少し油断するとおいていかれてしまうので、必死についていき「時代遅れ」にならないように頑張ってきました。

 一方、今の高校生・大学生は、『潮目』が変わった後に生まれてきた世代です。言い換えれば、この変化の速さ、この情報量の多さを「日常」として育ってきた世代なのです。

 彼らの目には、変化こそが「日常」であり、変わらないものは「非日常」と映るのかもしれません。時が流れても変わらない「伝統」に対して、非日常的なものへの憧れにも似た感情を抱いているのかもしれません。

 もしかしたら、「伝統」の価値を理解し感じ取っているのは、我々大人よりも、むしろ若い人たちの方なのかもしれないとさえ思ってしまうのは、私の考えすぎでしょうか。

 一事をもって万事を語ることはできませんが、この記事で自分の中の『時代錯誤』を省みることができたような気がします。

 以上、学長でした。

アナクロニズム



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2016年06月08日 Posted byクレドアカデミー at 13:45 │学長コラム