『やればできる』はホント? 完結編

さて、はじめ思っていたより長くなってしまいましたが、いよいよ「完結編」となります。
とは言っても、前回の「妨げている要因」が単純なものであっただけに、それらを「取り除く方法」もきわめて単純です。

1.『「わからない」だから「やらない」』を取り除くには
  当然「わかる」ようにしてあげればいいだけです。
ただ、この「わかるようにする」ことにも誤解があるのです。
  ある問題が解けない子どもがいたとします。その問題を説明してあげると、本人は「わかった!」と嬉しそうにしてくれます。しかし、問題は何も解決していません。その問題が解けなかった原因にまでさかのぼって理解してもらわなければ、本当に自力で解けるようにはならないのです。
  そして、ここが意外と大きなポイントなのですが、『本人が「理解できている」と言っている(そう思っている)』ところに、実は解けない原因が隠れていることが少なくありません。
当然本人には理解できていないという自覚症状はないのですから、こちら側で「本当に理解できているのか」「理解できていると思い込んでいるだけなのか」のチェックを行う必要があります。これには結構手間がかかります。ときには解いている過程をじっと観察する必要さえあるのです。
しかし、このようにして原因を取り除いていけば、徐々にですが自分で進めることができるようになっていきます。

2. 『頭と体がついてこない』を取り除くには
 ひと言で言うと、『鍛える』しかありません。かなり乱暴な言い方に聞こえるかもしれませんが、前提として、子供は『学習体力』さえ身につければかなりの時間「自主的に」勉強を続けることができるようになる、という確信があります。 
 中学3年生など、春先には2時間程度の学習でも根を上げていた子供たちも、夏期講習を経て秋ごろになると休日には平気で6~8時間ほど学習できるようになってきます。
 『学習体力』をつけるポイントは主にふたつです。
  ひとつは周囲が限界点を低く設定しないことです。「量よりも質が大事」「集中力は長くは続かない」確かにそうかもしれません。しかし周囲がそう言ってしまうと、子供もそれでいいのかと考えてしまいます。周囲が求めるべきは『質×量』の最大化です。
  もうひとつは、伴走してあげることです。今までできなかったことをできるようにする、大げさかもしれませんが、今まで勉強してこなかった子供たちにとっては『未知の世界』に踏み出すことなのです。長時間勉強をしている自分など想像すらできないでしょう。最初は道を知っている誰かが付き添って走ってあげることが必要です。
  正しい方法で鍛えてあげさえすれば、『学習体力』が身につき「自主的に」勉強に取り組むことも可能になります。

 ここまで本当に長々とお付き合いただき、ありがとうございます。
 『やらなければできない』。ではどうすれば「やるようになる」のか?
 結局は、「子供を信じて適切な方法で支えてあげる」、これに尽きます。
 世の中には『自立学習』という便利な言葉があります。これは我々が目指すべき大切な目標のひとつであることに間違いありません。しかし、時としてこの言葉が「本人任せの放任指導」を正当化するのに使われることも少なくありません。本当に自立させるためには手をかけることが求められる、私はそう信じています。

 わたくし共にもまだまだ足りない点が多々あるかとは思いますが、生徒一人ひとりをしっかりと見守っていけるよう、これからも全力を尽くして参ります。

                                                辛島  


2015年04月16日 Posted by クレドアカデミー at 10:00学長コラム