『箸(はし)に学ぶ』

「先進国 、特に西洋諸国では、食事の際ナイフ・フォークといったものが使われている。箸などいうものを使っているのは、アジアのごく一部の国々に過ぎない。この際、日本も箸を使うのをやめ、ナイフとフォークで食事をとるようにすれば良い。そうすれば、海外からより多くの観光客を呼び込むことが可能になるであろう。そもそも、箸を使うことを主張する人々の根拠は『使い慣れているから』とか『日本の文化だから』といったものであり、国際的な変化に対応しようとしない、単なるノスタルジックなものばかりである。」

というようなバカげた主張をする人は 少なくとも今の時代まずいないと思います


しかし 上の意見を『教育』に置き換えて考えてみてください

「ナイフ・フォーク」を『9月入学制』 「箸」を『4月入学制』と読み替えると

ほとんどそのまま『9月入学制』の主張になるのではないでしょうか


『9月入学制』に反対というわけではありません


ただ なぜ外国人は使いにくいお箸を使ってまで日本食を食べようとするのでしょうか?

やはりそれだけ日本食に魅力があるからでしょう


では 海外の優秀な学生にとって 日本の大学は留学先として治安の良さ以外に魅力を感じるのでしょうか?


2019年6月 イギリスのシュプリンガー・ネイチャー社は『質の高い論文の割合が高い研究機関ランキング』を発表しました


東京大学40位 京都大学60位に対して 沖縄科学技術大学院大学が見事9位にランクインしました

東京大学の教授・准教授が2000人を超えるのに対し 同大学院大学の研究者は80人程度に過ぎません

一方 同大学院大学の学生(約200人)の8割以上が外国人なのです


確かに同大学院大学は9月入学制度を導入しています

しかしそのこと以上に 研究機関としての魅力がなければ これだけの人材を集め これだけの成果を上げることは不可能でしょう


日本の大学が9月入学制度を導入したとしても どれだけの成果を上げることができるのでしょうか

日本の大学が研究者にとって魅力あるものになること まずはそこからだと思います

そしてそのために 実は小学校からの教育全体の歪み(ひずみ)を是正する必要があると思います


ちなみにこのような話をすると 文学部・教育学部を中心とした『文系学部不要論』を持ち出す人もいますが 私はそのような幼い主張には与しませんので 念のため


以上 学長でした







  


2020年05月31日 Posted by クレドアカデミー at 10:23学長コラム