【怒】共通テスト数学①

初回は『総論』を。

先週実施された『大学入試共通テスト』
当然、日曜の夜と月曜日に分け、私も解いてみた。

正直、『数学的に』そこまで難しい問題ではなかった。
ただ、解いているときに感じたことは、
「みんなやられてるだろうな。平均点激下がりか・・・」

結果は皆さんご存じの通り、大幅な平均点の低下。
数学ⅠAに至っては過去最低の38点だった。

そこまで難しくなかったのに
『なぜ高校生は得点できなかったのか?』


末松文部科学大臣 21日のコメント
「全体的に暗記型ではなく、日常生活の場面を題材にした問題や、様々な資料や図から複数の情報を読み取って活用する能力を問う問題がより明確になっている。」

もちろん「数学」についてのみの感想ではないのだが、「数学」の出題を強く意識していることは感じ取れる。

『日常生活の場面を題材にした問題や、様々な資料や図から複数の情報を読み取って活用する能力』を問いたい。
一万歩ほど譲歩してこの方向性を認めたとしても、今回の最大の問題点はここにある。

「そのような能力を試したいのであれば、現行の教科書はそのような能力を十分身に着けさせることができるものとなっているのか?」
「多くの公立の高校でそのような能力を身に着けさせる指導がなされているのか?」

文部科学省として、そのような体制を十分整えることもなく、高校生に対してだけ能力を要求している。
高校生はあなたたちの実験台ではない!!




「暗記型」だけではなく、などと軽々しく言うが、
三角関数・指数関数・対数関数・微分・積分・ベクトル・数列・複素数・・・
高校数学で登場する新しい数学的概念だけでも、結構な量がある。
そしてこれらに伴う「公式」や「解法」、それらをマスターするだけでもどれだけの労力を必要とすることか。

教科は数学だけではない。英語や理科もある。
高校生活は勉強だけではない。部活や生徒会の活動などもある。

そのような状況の中、数学の基礎力を身につけた上で更なる活用力を身につけろというのか。


今回解いてみて「難しくはない」と感じた。
なぜか? 解いているとき使っていたのは頭の中の『数学的な』部分ではなく、主に『事務処理的な』部分を使ったからだ。
「数学の問題を解く」のではなく「仕事の事務を処理する」感覚で解くと、意外と楽に解ける。
念のために言っておくが、それは『問題解決能力』などといった高度なものではなく、単なる『事務処理能力』である。

当然普通の高校生が身に着けているものではなく、脳が若々しい貴重な高校時代に、数学を通して身に着けるべきようなものでもない。


今回のテストでおかしいところはまだまだある。
ただ、最大の『罪』は、「受験生の努力を正当に評価できなかった」ことにある。
人の努力を、懸命な努力を踏みにじるような問題を平気で出題したことである。


誰かが責任を取るべきレベルの問題である。
「たかが入試問題で」と思われるかもしれないが、
日々彼らの努力を目にしてきた者として、看過できないことである。


『総論』が長くなってしまった(言いたいことはまだまだあるが)。
次回は、『各論』を具体的に、できれば『数学的』に。


以上、学長でした。






   


2022年01月22日 Posted by クレドアカデミー at 13:00高等部☆指導風景